週刊中年オッサンデー

中年おっさんの趣味や日々のくだらない話

MENU

屁貯金(おならちょきん)

ウチの嫁さんは偏頭痛持ちのため、ちょっとした臭いにも敏感であり、特に頭痛が酷い時にうっかりオナラでもしようものなら、それはそれはシャレにならない位にマジギレされるのである。

 

娘がまだ幼い頃、俺の屁はマジで殺人行為だという事で、オナラをした場合には罰金としてワンコイン(10円~500円)を貯金箱に入れるという理不尽な家庭内ルールが定められた。

 

つい、というかうっかり出てしまった場合には、審判(嫁)の判断により許容される場合もあったのだが、(例えばくしゃみをしたついでに出てしまった場合など)
とにかく屁コキの俺には不利な大変厳しいルールであった。

 

普段仕事中に耐えているのだから、せめて家ぐらい良いのではないか?という私の意見も虚しく却下され、そういう場合には屁コキ部屋(私の小さな書斎もどきの物置部屋)を使いなさいと審判(嫁)から厳しく指導を受けたのだった。

 

これで長期ローンを組んだ上にやっとの思いで建てたマイホームで、心の底からリラックスする事など許されなくなったのである。

それはホームでありながら、常にアウェーのような状態になったのだ。

 

その日から嫁が用意した黄色いトラの貯金箱(JAで貰ったやつ)に俺の貴重な小遣いは吸い込まれていくのであった。

 

f:id:TRX69:20200409140210j:image

 

しばらくしたある休日の事、結構な重さになった虎の貯金箱が気になり、いったいどれ位貯まったのかチェックしてみる事になった。

 

100円玉(←ある意味標準的な屁の場合はこれ)

数少ない500円玉(←この時はいったいどんだけ強烈なおならをしてしまったのだろう......)

50円玉や10円玉(←この辺は100円を入れるフリをしてごまかしたもの)

5円玉や1円玉まで(←ついでに出ちゃったおまけの屁の可能性が高い)

 

「これは凄いな!夏休みの旅行の費用の一部に当てよう!」

と、夫婦で興奮して小銭を数えていたところに、当時小学生だった娘が帰ってきた。

 

娘はその光景を見るなり、俺にこう言い放った。

 

『お父さん、凄いね。こんなにオナラしたの?』

 

『 ・・・・・・ !?』

 

褒められてるんだか、貶されてるんだか…

尊敬されてんのか、軽蔑されてるのか…

 

なんだか嬉しいような、悔しいような、恥ずかしいような、

そんな何とも言えないもやもやとした気持ちに包まれた。

『一日でこんなにしたわけではないんだよ....。』

言い訳なのか、謙遜なのか…

よくわからない言い訳(結局言い訳)で返しながら、
これを教訓として、何かもっと気の効いた事を子供に言い聞かせられるチャンスだと思った。

 

『ローマは一日して成らず.....だよ。』

 

『 ・・・・・・??? 』

 

静まり返ったダイニング…

 

その静寂さを打ち消すかのように、苦し紛れに屁をこいた。

 

プイッ❗️

 

『.......ごめん、どうしても耐えられなかった....。』

 

屁で貯金箱を一杯にしておきながら、未だに屁で窮地を救えると勘違いしていた学習能力ゼロの俺...。

 

更に深い静寂に包まれた午後、空けたばかりの黄色い虎の貯金箱にまた1枚のコインが吸い込まれたのであった。

 

おしまい

 

 

 

trx69.hatenablog.com